『熱』



ふと、目が、覚めた。
見上げれば、まだ真っ暗な天井。深更と言っていいほどの時刻。
枕元にある障子戸だけが仄かに明るい。月光が照らしているのだ。
まだ、夜なのね・・・
はっきりしてくる意識と共に、妙は自分の胸に回された腕に気づいた。
「あ・・・!」
思わず、声が洩れる。
隣に、ボサボサの銀髪男が寝ていた。
うつ伏せて、顔だけをこちらに向けて。目は閉じられ、かすかな寝息が聞こえる。
・・・銀さん。
回された腕に自分の手を重ねて、確かめる。他の誰でもないことは分かっていたはずなのに。
「まだ、目を覚まさないで・・・」
小さく、つぶやいた。




--------------------------------------------------------------




今日は仕事が早上がりの番だった。
しかも「明け方には雪」の天気予報が出たほど寒く、すまいるの客足も今一で、お店の女の子達はヒマを持て余していた。
このところ残業続きだった妙は、店長からさらに一時間早く帰って休むよう言われた。
「疲れてるでしょ」
気を遣ってくれたのが分るので、断れなかった。


日付が変わる前に家に帰るなんて、何ヶ月ぶりのことだろう。
玄関の戸を開け、家の中に入ると、しんとした静けさだけが闇の中にあった。
今夜、新八はいない。お通ちゃんの地方ライブに泊りがけで行くとかで、昼過ぎに出かけた。
弟の「隊長は忙しいんですよ」と言う嬉しそうな笑顔を思い出し、妙は少しほほえむ。
いつもいろんな苦労をしてるのだから、たまには楽しんで来てほしいと思う。
普通の、年頃の男の子のように。
闇に慣れてきた目で廊下を通り、障子を引いて自分の部屋に入った。
電気を点けたが、その硬質な明るさがなぜか眼に沁みて、思わず消してしまう。
小さな巾着を台の上に置き、妙は帰ったらすぐ横になれるよう敷いて置いた布団の上へ横座りになった。
骨まで冷やしそうな寒さが、足袋の指先から伝わってくる。
暖房を点ければいいのだが、今夜はそれさえも億劫で、ただ体が冷えていくのに任せた。
・・・ひとりぼっち。
なぜかそれが、胸に迫る。じわり、じわりと。
「疲れてるのよ・・・きっとそうよ・・・」
わざと、声に出して言う。声より、白い息の方が大きかった。
別に一人の夜が初めてというわけでもない。
新八はちょくちょく万屋に泊まってくるし、今夜と同じく、お通ちゃんに関することで家を空けることも年に何回かある。
それなのになぜ、今夜だけこんなに感傷的になっているのか分らなかった。
人が聞いたら笑うだろう。自分が感傷的になるなんて。
『お前がセンチメンタルですか!あんまり笑わすなよなァ、お妙』
一番再生されたくない声の嘲笑が頭の中に響き、妙は眉をしかめる。
その時。
「うわっ。何してんのお前。コワッ」
同じ声が、障子の方から聞こえた。弾かれるように、妙はそちらを見る。
いつもの格好に羽織を重ね着した、銀髪の男が立っていた。
目をむいて、口の端が引きつっている。
「ぎ、銀さん。どうしたの?」
「どうしたのじゃねーよ。新八から『ついでがあったら様子見てくれ』って頼まれたんで来てみりゃ、呼び鈴押しても応答ねーし、玄関は鍵かかってねーのに中は真っ暗だわで、ビビったんだぞ」
一気にまくしたてる。
「どうしたのはこっちのセリフだろーが。どうした?」
「あ・・・あの・・・」
思わず、妙は口ごもる。どれくらいの時間ぼんやりしていたのだろう。呼び鈴にも気が付かなかったとは。
「一応心配になって中に入って見りゃ、お前は暗ーいトコで亡霊みたいにうずくまってるし、マジで怖ェよ。止めてくんない?俺そういうの弱いんだからさァ」
言いながら、布団の傍まで来る。
「あの・・・ごめんなさい。全然気がつかなくて」
どんな言い訳も考え付かず、追いつめられた妙の口からは詫びの言葉しか出なかった。
それを聞いた銀時が、畳に膝をついて視線を同じにして来る。
「ホント、どうしたのお前?お前が素直に謝るなんてヤベェぞ。熱でもあんのか?」
眉を寄せ、本気で心配している顔が気に障った。だが同時に、深く安堵もした。
得体の知れない感情に囚われて、正直に言えば、心細かったから。
「熱なんかないわよ、疲れてるの。私はどこかのフーテン侍と違って、ちゃんと仕事してるんです。ちゃんと仕事すると疲れるの。銀さんには分かんないでしょうけど」
言いながら、いつもの調子を取り戻していく。
「へェへェ。そりゃ心配して損したよ。余計な世話だったな」
目が細められ、不機嫌そうに唇が窄まる。
―――だから俺ァ心配なんて要らねェって言ったんだよ。ここからは式神だって裸足で逃げ出すぜ。
独り言のつぶやきは、妙を警戒して小さな声だった。
「何ですって?」
拳を握りながら聞き返すと、いいえなんでも、と銀時は首をぷるぷると振る。
この人に救われている、と妙はふいに思った。
この怠け者でぐーたらで飄々としたこの人に、いつも救われている。
何かのアンテナでも立ってるように、助けに来てくれる。
「じゃ、新八に言いつかった俺の役目は、これで終了」
やれやれといった体で銀時は立ち上がった。
「早く休めよ」
ぽん、と妙の頭に大きな手が置かれる。
頭の天辺から、ぬくもりが伝わり、羽織の袖が頬をさらりと撫でた。
「・・・銀さん、待って」
気づいたら、袖を引いていた。



それを見た時、ぞっとした。
凍るような薄闇の中で、静かに座るひとりの女。顔色は無いに等しく、瞳には光が失われていた。
死に臨む者。死者と生者との狭間に踏み入った者。
白夜叉と呼ばれたあの時代に、数え切れないほど目にした姿だった。
いつもの、あの凛として立つ勝気な姿はどこへ行ったのか。
「うわっ。何してんのお前。コワッ」
こちらに一向に気づくそぶりのない妙に、わざと大きめに声をかけた。
「ぎ、銀さん。どうしたの?」
驚いて見上げた瞳は光を戻しており、銀時を内心ホッとさせる。
適当な軽口を叩いて様子を見たが、言葉通り少し疲れているようなので、そっとしておくことにした。
だから、帰ろうと、腰を上げたのだったが。
「・・・銀さん、待って」
袖を引かれて、体が止まった。
「ん?」
「え・・・ええっと・・・」
ガラにもなく、今日はやけに歯切れ悪りィなと思いながら、再び膝をついた。
「何だよ?」
妙は袖を離そうと指をゆるめ、またすぐにぎゅっと握り直す。
銀時は不意に自分のこめかみで、脈動を感じた。緊張感が漂う。すべてが、いつもと違う。
「・・・、・・・て」
妙が小さな声で何か言っているが、銀時の耳には届かない。
「聞こえねーよ、何だって?」
必然的に、耳を近づけることになる。
すうっと、意を決したように妙が息を吸う気配がした。
「・・・まだ、居て」
「え?お前何言ってんだよ」
八割方は聞き間違えだと思い、銀時は妙の顔を見た。
そこには余裕のない表情があった。瞳は一心に銀時を見つめ、拒絶を怖れて、袖を握った指がふるえている。
―――俺だって、拒絶は怖ェよ。ずっと、怖かったよ。
ばちっ。
銀時の耳元で、確かに、何かのタガが弾ける音がした。


どうか、拒まないでほしい。
どうしても越えられなかった”仲間”の一線を越えることを。
どうか、ゆるして。
どうしても堰き止めておけなくなった想いを伝えることを。


袖を握られたまま、銀時は妙の体を抱き寄せる。
着物の上からも、華奢な肩甲骨が分かった。
重いものを背負い続ける背中は、こんなに小さい。腕の中にすっぽりと入ってしまう。


声を発する間もなかった。
抱きしめられていた。冗談でしか触れたことのない人の腕の中に。
肩と背中から銀時の体温が伝わる。
人の、ぬくもり。
何とも形容しがたいものが、胸に満ちる。
人の体温ってこんなに暖かいものだったの?
「どうした?」
彼女のかすかな異変に感応して、銀時は腕を少し放し、顔をのぞきこんだ。
妙はその瞳を見つめ返す。
「・・・あったかくて」
言いながら、視界がぼやける。鼻の奥と、目のふちが熱い。
銀時の目が近づいてくる。鼻が触れる。
少し首を傾げるのを見て、キスはそうするものだと、知る。
銀時の唇は薄く、腕の中と同じほどあたたかい。
妙は目を閉じた。瞼に圧された涙が、目じりから溢れて頬に伝う。
長い口づけが、離れる。
「お妙」
少しかすれていて、低い声色が胸をざわつかせる。ただの、自分の名前なのに。
「俺ァ、ずっと・・・」
続きは聞こえなかった。
銀時の両手が妙の頬を包み、今度はわずかに開かれた唇がつけられた。
上唇を舐められて、はっとしたところを、舌に侵入される。
「んっ・・・」
舌と舌が触れ合う、温さ。甘さ。未知の感覚。息ができずに、ただ弄られる。なのに、嫌だと感じなかった。
頭がぼうっとして、体から力が抜けていく。
唇を合わせたまま、妙はゆっくりと背中から布団の上に倒れた。
自然と、銀時が覆いかぶさる形になる。
唇を離して、ふたりは見つめ合う。
「ずっと、何?」
妙は続きが聞きたかった。手を伸ばして、人差し指で銀時の唇に触れる。
「ずっと、怖かった。一度こうなったら、もうダメだって・・・な」
もう軽口を叩き合うことも、皆とバカな事をしてワイワイ騒ぐこともできなくなるかもしれない。
人ならぬ化け物にさえ、ためらいなく斬りかかれる男が、そんなことを怖れていたのだ。
妙の指先が、銀時の唇をさまよう。一度目を伏せ、再び見上げる。
視線の先で、藍色の瞳が覚悟を問うていた。そして、自分は真剣だと訴えている。
「・・・イヤとか言っても、もう止めねェぞ」
最後通牒のように聞こえた。
「イヤじゃないわ」
妙は頭を上げ、唇を近づけながら答えた。


今度の口づけは、もっと深かった。
舌が絡めとられ、吸われる。やがて銀時の唇は、妙の耳の方へと下りていく。
熱い息と共に、舌先が這わされる。
「あ・・・あ」
体中の神経が、そこに集中するのが分かった。こそばゆいのに似ているが、少し違う刺激が、肌を粟立たせる。
銀時は妙の着物の衿元を開き、鎖骨の窪みへ口づける。
そのまま、しゅるりと音を立てながら帯締めと腰紐をほどく。
太鼓結びの帯がゆるみ、布団の上に、美しい衣の海が広がった。
薄闇の中、襦袢の白と妙の肌の白だけが浮かび上がる。
銀時は一度顔を上げ、妙の表情を見た。
眉が下がり、少しの不安を感じてはいるようだが、抵抗はしてこない。
少しでも安心させられればと思い、一度額に口づけをした。
それでも止められはせず、指を衿に掛ける。先ほどより強い力で、引く。
冷たい夜気に、妙の乳房がさらされる。
「・・・っ」
とっさに妙は手で隠そうとした。その手首をさっと払われる。
「隠すなって」
「だって・・・あっ」
口ごたえする間もなく、温い舌がそのささやかなふくらみに這わされた。
背筋から腰へ、ぴりりとしたものが走る。
「んんっ」
銀時の節の大きな暖かい手が包みこむように揉み始めると、恥ずかしさと今まで感じたことのない心地よさで、顔に朱が上ってくるのが分かった。
「銀さん、銀さん、銀さん」
思わず名前を連呼してしまう。
「ん?」
手は妙の乳房に置いたまま、銀時が顔を上げる。
「何か変なの。どうしたらいいの」
「は?」
妙の目には涙の膜がまた出来ている。
「背筋には寒気がするのに、銀さんが触るところが熱いの」
必死に言う。
ふふ、とめずらしく優しげに銀時は笑った。
「お前『感じてる』の、ソレ」
「えっ」
これが?
分からない。何も分からない。男女の秘め事とかいうものは。
だれも教えてくれなかった。聞くのも怖かった。
やがて銀時の舌は、ふくらみの頂点を捉えた。桜色のちいさな凝りを、そっと吸う。
「・・・はッ・・・ああっ」
それは、発した方も聞いた方も困惑するほどの色香で響く。
妙は恥ずかしさで唇を噛み締め、腰はびくんと震えた。
同時に、銀時は自分に余裕がなくなりつつあるのを悟った。
足の間から熱が上ってくる。
妙の無意識の反応は恐ろしく扇情的で。
これなら、薙刀構えて「やんのかコラ」とか言っててくれた方が1000倍楽だ。
だが、手は休めず、もう片方の乳房も捏ね、すでに硬くなった頂を舐め上げる。
「んんっ」
押し殺した声がもれ、足が持ち上がった。銀時はその隙を逃さず、襦袢をはだけて妙の足の間に膝を置く。
慣れてるのね、と妙は靄のかかる意識の中で思った。
大人の男なんだ、と実感する。
慌てているだけの自分が尚更はずかしい。
その時。銀時の手が太ももを撫で上げた。
「・・・!」
声も出ない。
「ちょっ、オマエ」
しかし、銀時は違う理由で驚く。
妙にはその理由がすぐ分かった。今日は淡い色の着物だから、襦袢の下は腰巻しか付けていないのだ。
「だって今日は着物の色が」
必死に言い訳する妙の顔を、銀時がのぞき込む。
片眉をちらりと上げ、『エロい』と口の形だけで言う。
思わず読み取ってしまった自分への自己嫌悪で、妙の顔がさらに紅く染まる。
太ももを撫でた手は二、三度と腰の下あたりをゆき返りした後、意を決したように足の付け根へと伸ばされた。
「イ・・・ヤっ」
先刻、イヤじゃない、と言ったのは確かだけれど。
それでも、自分でさえ触れることの少ないそこを、人に・・・銀さんに触られるなんて。
思わず、足を閉じようとする。だが、膝の間には本人がいる。必定、腰を足で挟む形になってしまう。
「止めねェって、俺、言ったし」
柔和な声で、無情な答えが返ってきた。
銀時の人差し指が、花弁の下から掬うようになぞる。
狭間からあふれた濃度のある蜜がその指を濡らし、垂れ落ちる。それを妙は自覚する。
「あ、銀さ・・・」
今なら羞恥心で死ねるかもしれない、と本気で思った。
涙が湧いて、視界がゆれる。だが、足の間では焦れったいような疼きが生まれる。
銀時は濡れた人差し指と親指をこすり合わせた後、再び人差し指を花弁に押し当てた。指先が、ぬるりと呑み込まれる。
親指の腹で控えめに尖る芽をこする。
「んっ・・・ああっ」
未経験の刺激に、妙の背中が反った。襦袢が肩から落ち、胸から細い腕の半ばまでが露わになる。
しかしそれを直す余裕が、今の妙には全くなかった。
銀時は人差し指をさらに少し挿れ、今、妙の体の中で間違いなく一番熱い場所を探る。
洞のかすかな凹凸を擦ると内が収縮して、くちゅ、と淫らに湧き出す蜜が指の根元まで伝わっていく。
「は・・・ぁ」
妙の抑えきれない白い吐息が闇に消える。
何度か指の抜き挿しをした後、銀時は徐に羽織ごと上着を脱ぎ捨てた。
妙の熱が伝わったように火照った体が冷気にさらされ、いっそ心地いい。
そのまま銀時は膝を進め、さらに足の間に入り込み、妙の目を覗きこむ。
いろんな感情でとり散らかっている妙に口づける。
「あのなァ、俺もそんなに余裕ないんだぞ」
そして、小さく息を吐く。
「・・・惚れた女、初めて抱くって時なんだから」
それを聞いて、妙はハッとした。
銀さんも緊張してるの?・・・私のこと、好き、だから?
肋骨の辺りに温みが生まれ、自分の想いも強く実感する。
それを伝えられればいいが、言葉にならなかった。
「・・・銀さん」
ただ、この続きの是認のしるしに、一度うなずいた。
唇が触れるか触れないかの距離に顔を近づけたまま、銀時は手で黒いズボンの前を寛げた。
熱の溜まる自分のものを外へ出す。
「・・・痛いだろうけど、すまねェな」
出来うる限りのやさしい声で詫びた。
妙の指が、その場にあった銀時の着物をぎゅっと握る。
覚悟はできていた。
「んんっ・・・」
腰にかかる銀時の重みが増し、熱く猛るものが自分の内を引き裂いていく。
白い足に力が入り、指を丸く曲げる。
「は・・・」
妙は息と共に、痛みを逃がそうとした。
「大丈夫か?」
狭い洞の締めつけに耐えながら、銀時が訊く。
妙はまた、うなずく。
確かに疼痛はあるが、銀時を迎え入れていることが幸福でもあった。
うれしい痛みがあることを、初めて知った。
頬に赤みが差し、やや目を細めた銀時が艶やかで、初めて見る表情に妙の鼓動が早まる。
ゆっくりと銀時が動き始めた。
浅く抜き挿ししながら、乳房の頂を舌先で丸く舐める。
「あぁ・・・んっ」
痛みを伴うのに、妙の体は分け入ってくるその熱を欲しがる。
銀時は顔を上げ、妙に口づけた。
今、妙の髪は解けかけて乱れ、青白かった肌は湿って桜色に染まっている。
濃茶の瞳は、涙で濡れて潤んでいるが、懸命に銀時を見つめたままだ。
銀時は汗で額に貼りつく妙の前髪を、指で梳き上げてやった。
「ああ、綺麗だなァ、お前・・・」
そのささやきが聞こえた時、妙は痛みが薄れるのを感じる。
「銀さ・・・好き・・・」
途切れ途切れに、言った。





それからのことは、あまり覚えていない。
すべてが終わった後、ただもうぐったりとしてしまって、銀時の腕の中に抱きしめられたことだけは確かだ。
そのまま眠ってしまったらしい。
「・・・お妙」
「はい?」
とっさに答えてしまってから、驚いて横を向いた。
「銀さん!いつの間に起きてたんですか」
「おまえがぼーっとしてる間」
銀時は顔を上げ、肘をついて枕にする。
表情はいつもの泰然とした感じに戻っているが、妙はどうしても先ほどの艶めいた顔を思い出してしまい、目を伏せた。
「新八、許してくれるかなァ」
その言葉で、急に現実に戻される。
「・・・新ちゃんには、黙っていればいいと思いますけど」
第一、何と言えばいいのか。
「そんなわけにいくかよ!」
銀時の語気が強くなり、妙は驚いて視線を戻した。
「お前の大事な姉ちゃんは、俺がこれから替わりに大事にするからなって言わねェと」
「そんなこと言うんですか?」
そんなことを言う銀時が想像できない。
「そりゃそーだろ。お前が大事に守ってきたもんをもらっちまったんだから。俺を見くびんなよ」
当然、という態度に、妙は嬉しくなってほほえんだ。涙も出てくる。信じられない。どうも涙もろくなっているようだ。
指で目尻をぬぐっていると、銀時が空いた方の手で抱き寄せてくれる。
「木刀の一撃は黙って食らって、あとは逃げ切れると思うけどなァ・・・あいつ最近強くなったから、手こずるだろーな」
そして小さく、舌打ちする。
「あーあ、場数踏ませて、鍛えるんじゃなかったぜ」
「自業自得ですよね」
「あ、テメェ、人ごとと思って」
銀時が指を伸ばして、妙の耳を引っ張る。
一番安心できる場所になった銀時の腕の中で、妙はふふっと明るく笑った。









ええっと。コホン。
長ェェェェェェ!!ですね。すんません。
なぜなの、なぜいつもエロ部分にスムーズに入ることができないの?前置き長ェよ!(己れツッコミ)

とりあえず銀さん、新ちゃんは木刀じゃなくて真剣で来ると思うよ。がんばれ(笑)。
今回でかなり燃え尽きた感のある銀妙ですが、今度裏SS書く時はもうちょいライトな感じでいきたいと思います。
長々と読んでいただいて、ありがとうございます!




「閉じる」か「×」で窓を閉じてください