―――何を言えばいいのか分からない。言うべき言葉はたくさんあるはずなのに、ただ向き合ったままで、ひとつも口の端にさえのぼって来てくれない。 シカマルの目には、かすかに笑みを残したままのテマリが映っている。扇子を背負ったいつもの忍装束だが、今夜の彼女はひどく臈長けて見える。浅い襟ぐりからのぞく首は細く、肩はいつもより小さく感じられた。ここに居るのに、もういないような、はかなげな美しさ………。 シカマルは無意識のうちに手を伸ばし、テマリの指を握っていた。一本…二本…手繰り寄せるように絡めていく。 中忍試験で出会ってから、六年。 戦術分析派の忍としてお互いを認め、共同で任務についたこともたびたびある。それ以外でも、年に何度かは会ってきた。なにも特別なことはしていない。のんびりと話をしたり、一局かまえたりしただけだ。 ただ、共に過ごす時間が思ったよりも楽しかった。そしていつからか、相手に触れることをしなくなった。昔なら笑い合って肩を叩いていたような時も、手が躊躇する。触れられない。でも、触れたい。ここ数年は、そんな焦れた思いをそしらぬ表情に隠して来たような気がする。 テマリの指が自分の手を握り返して来た時、シカマルはぎりっと心臓がしめこまれる痛みを感じた。耐えきれず、手を離して彼女を抱き寄せる。 「………!」 声にはならない息とともに、テマリの体が腕の中に収まった。ずっとこうしてみたかった。想像通り、細くしなやかな体。やがて彼女も、そっとシカマルの背に手をまわしてくる。逞しいほどではないが、膂力を感じさせる背中。最初に戦った時の少年らしい華奢さの面影はない。 ぬくもりが伝わった。胸から直接響く互いの鼓動が二度と戻らない時間を刻み、交わしたたくさんの言葉と、間近に見たたくさんの表情が鮮やかによみがえる。 そして、あえて遠ざけてきた感情を、ふたりははっきりと自覚する。 それが許されないことだと知りながら。 木の葉と砂。旧敵。己の責務。重い刃が二人の想いを分かつ。 シカマルはいっそう腕に力を入れ、テマリは彼の背中の布地を掴んだ。自覚した気持ちを伝え合うことも叶わず、やり場のないせつなさが心を軋ませる。 「奈良シカマル」 彼の肩に顔をうずめたまま、テマリがまた小さく呼んだ。 泣くな、泣くな、泣くな…・。 彼女は自分に何度も言いきかせる。 「……ありがとう。お前には世話になったな」 抱きついた仕草と、震える声には不似合いな台詞。 「いや…オレこそ……」 言われた方も、気のきいたことは答えられない。 行かないでくれ、と言えたならどんなにか――― テマリが、シカマルの体を押すようにして離れる。ふいに風が逆巻き、勢いを増す。 「息災で……」 聞き取れるぎりぎりの声で、彼女は言った。そして素早く胸の前で印を結ぶ。さらに勢いのついた風がシカマルを後ずさらせる。 「テマリ―――!」 狂ったように風舞う白い花弁の間に、薄れゆく彼女の表情が見えた。その唇にはやさしいほほえみが在り、頬にはついに堪えきれなかった涙が伝っていた。 そして……消えた。 残されたのは、夜陰と静寂。風を失って、雪の如く地に降る無数の花弁。 シカマルはしばらく、立ち尽くしていた。テマリがもう現れないことは分かっていたが、半身をもがれたような喪失感が体を縫い止め、その場から動けない。 心臓の痛みはまだ続いている。ひどくなっているような気がする。 ほほえんでくれた。最後に。見たこともないようなやさしい笑みだった。あんな顔を見てみたいと思っていた。だから嬉しい。なのに、苦しい。 シカマルは、昔本で読んだ言葉を思い出していた。 「忘れる」ことは、生きてゆくために、人に赦されたひとつの技能なのだと。 だから、きっと忘れることができる。楽しかった逢瀬も、別離のつらさも。この、胸をしめつける痛みさえも。 ………子供じゃねェんだ。あきらめろ。 シカマルは指が白くなるほど拳を握りしめ、きつく目を閉じた。 会議の準備を任された下忍たちが、書類や飲み物を慌ただしく配っている。 テマリは前髪を耳の方へ梳きながら、円形のテーブルの一席についた。隣にはすでにカンクロウの姿がある。 「緊張してるのか?」 少し心配そうに訊く弟に、テマリは首を振ってみせた。 「いや。気にするな」 周囲では、相談役の長老達や壮年の幹部、若いリーダーらが揃いつつあり、あちこちで上がる談笑の声が会議室を満たす。 会議が始まれば、菱貝家へ婚儀承諾の使者を立てる決議がなされる。反対者など居ないため、すぐに決まるだろう。そしたら彼女は、立ち上がって一礼するだけでいい。それで何もかも済む。 ほとんど人ごとのように遠く感じながら、テマリはテーブルの上に置かれた湯飲みへ視線を落とした。 誰にもさとられてはならない。胸の奥で「イヤだ」と子供のように泣きじゃくっている、この本心を。 テマリが顔を上げると、ちょうど入口の扉から風影・我愛羅が現れた。話し声が止む。彼が上座にあたる風影席に腰を下ろすと、全員が静かに一礼した。我愛羅は会釈してそれに応える。 「早速ですが、臨時の決議について幹部会を始めます」 進行役のバキが口を開く。彼は淡々と菱貝家からの書状の内容、夕霧の人為などを説明した。幹部達は手元の紙束をめくりながら口をはさむことなく聞き入っている。どの顔も満足げで穏やかだ。 「……この件につきましては、テマリ殿も了承済みです」 バキがそう続けると、一同の目は彼女のほうへ向いた。静かにうなずいて、同意のしるしにする。 「それでは、夕霧家には正式に承諾の使者を送るということで、何かご意見はありませんか」 室内は静まったままだ。さまよったテマリの視線が、我愛羅と合う。彼はきびしい目つきをしていた。何かに怒っているような、焦っているような。どうした?とテマリは目で問うが、我愛羅はふっと逸らしてしまう。 「反対意見はないようですので、これを幹部決定と……」 まとめとしてバキが少し声を大きくした時、ふいに会議室の外でバタバタと大きな物音がした。切れ切れの鋭い声がそれに混ざる。 何事かと居並ぶ幹部がざわめき、若い数人が扉のほうへ向かいかけた瞬間。 バタン!! 勢いよく、扉が開かれた。 そこに現れた人物に、テマリは息をのむ。 「奈良シカ…」 「遅い!!」 驚きにかすれる彼女の声を、急に立ち上がった我愛羅の怒声が打ち消した。 「わりィ」 両腕を警備の下忍に掴まれたシカマルは、肩で息をしながら苦笑いする。 「まったく。来るのが遅いんだよ!来ないかと思ったぞ。火影がお前に伝え忘れてたんじゃないだろうな」 「いや。違う。オレがぐだぐだ悩んでただけだ」 それを聞いた我愛羅はあきれたように溜息をつき、 「離してやれ」 と、シカマルの両脇の下忍に言った。彼らは何が起こっているのかさっぱり分からない様子だが、それでも風影の言葉に従う。 「テマリ!」 自由の身になったシカマルは、まだ座ったままの彼女に呼びかける。誰よりも驚いた顔をして、テマリは立った。ふらふらとおぼつかない足取りで彼の方まで寄っていく。 「おまえ……」 唇を開くが、それ以上の言葉が出てこない。泣く心が創り出す幻術のようにも思えて、普段通り木ノ葉の忍服を着たシカマルを見つめるばかり。 幹部達も口を挟むタイミングを失ったのか、ただその場のなりゆきを固唾をのんで見守る。 シカマルは一度床へ視線を落としてから、決意をかためたようにきっと顔を上げた。 「オレは知ってる。菱貝家に嫁いだ方がおまえの苦労が少ないことも、砂の里のためになることも。だが、すまん。物分りのいいフリしておまえのことをあきらめようとしたけど、やっぱ、どうしても無理だ。これからおまえの頼み事なんでもきくから、今だけはオレの頼み事をきいてくれ」 「たのみ…ごと…?」 テマリはシカマルの言葉を解しようと反芻するが、驚きととまどいで意味が組合わさらない。 シカマルは息を大きく吸い、テマリの肩を両手で掴む。彼女の瞳に、真摯としかあらわしようのないシカマルの顔が映る。 「よその家になんか嫁に行くなよ。オレにはおまえが要るんだ。テマリ」 よどみなく、彼は言った。紗がかかったままだったテマリの意識が、陽が差したように鮮明になる。 「…・…!」 彼女を苛んでいたあの鋭い痛みが熱に代わり、胸につかえた。ああ、何か言わなくては。気ばかりが勇み、とっさにシカマルの袖を掴むことしかできない。 シカマルは、目の前で言葉を探し続けるテマリの額当てに指を掛けた。すっと持ち上げて頭から抜き取る。幾多の刀傷が走るそれを、シカマルは我愛羅に向かって投げた。 ぱしん。 軽い音と共に、我愛羅は見事片手で受け取る。 「ということなんで、風影様、幹部の皆さん。テマリは木ノ葉にもらっていきます」 小気味良いほど潔く、シカマルは宣言した。そしてテマリの前に屈み、突っ立ったままの彼女を、ひょいと抱き上げる。 「ちょ、ちょっと待て!勝手な事ばっかり言いやがって、お前はいったい……!」 我に返った若い幹部が、椅子を後ろへ倒しながら立ち上がって叫ぶ。 「止せ」 当然の抗議を短く遮ったのは、ほかならぬ我愛羅だ。 彼はゆっくり風影席を離れ、カンクロウに視線を送る。それを受けて、カンクロウも立ち上がった。二人はテマリを抱えたシカマルのそばに集まる。 「……これはデカい貸しだからな。覚えておけ」 シカマルの眉間を指差しながら、我愛羅は低く言った。シカマルは背中に冷たいものを感じつつうなずく。 「ですが、風影様・・・!」 今度は別の幹部が抗議の声を上げる。我愛羅はそれを、今度は手で制した。 「いいんだ、これで」 その言葉とともに、彼の表情は穏やかになる。 「我愛羅、どうして………」 テマリは何もかも見通していたような弟に問いかけた。 「あまり言いたくないが、昔っからこいつの話をする時だけ、嬉しそうだったからな」 またシカマルを指差し、やれやれという風に言ってから、彼はテマリに向き直った。 「テマリ。おまえはずっと、この里の為に自我を抑えて一生懸命尽くしてくれた。だから、これからの事はオレやカンクロウ、他の幹部連中に任せてくれ。菱貝家の後ろ盾がなくても、なんとかやっていける」 「だが…」 心配そうにテマリの表情はくもる。 「姉さん」 あらためて、我愛羅は呼びかけた。今まで一度も口にしたことのない呼び名で。テマリの肩がぴくりと揺れる。 「もう、自由に生きていい。自分の幸せを見つけて暮らすんだ」 「我愛羅」 「もう大丈夫だから、テマリ。心配ないじゃん」 カンクロウも隣でうなずく。 「おまえたち……」 言葉にならない想いが、涙になってテマリの目にあふれる。彼女は、泣くまいとうつむいた。我愛羅とカンクロウは、元気づけるように、交互にテマリの頭をぽんぽんと叩く。 「よかったな、テマリ。こいつ、これからはおまえの頼み事、何でもきくらしいぞ」 "何でも"を強調して、我愛羅は人の悪い笑みを浮かべた。シカマルはぎょっとして彼の顔を見る。 やべェ。オレ、一生この事でいびられるぜ、こりゃ……… 早くもシカマルを襲ってきた前途多難の不安を、腕の中のテマリのぬくもりが打ち消す。彼女を失ってしまうより悪いことなどあるはずもない。シカマルはもう一度、ぐっとテマリの体を抱えなおした。 「イヤなことがあったら、すぐ戻ってこい」 我愛羅とカンクロウがきれいにハモって言う。 「……うん」 なんとか泣くのを堪えたテマリが、顔をあげてほほえむ。 「心配しなくても戻って来ねーよ!」 シカマルは肩をぐっと回し、弟ふたりからテマリを遠ざけた。彼らは顔を見合わせ「どうだかな」といった風情で肩をすくめ合う。 「じゃあな」 そのふたりを睨んで、シカマルは扉の方へ一歩動いた。 「あ、ありがとう。我愛羅、カンクロウ」 テマリが身を乗り出す。彼女は抱えられたまま手を伸ばして、自分よりずいぶん大きくなってしまった弟たちの片頬ずつに触れた。 「ありがとう……!」 せいいっぱいの気持ちをこめた彼女のふるえる声が、聞く人々の胸に迫った。自然に我愛羅とカンクロウも笑顔になる。 「幸せにな」 また同じタイミングで言って、ふたりは軽く手を上げた。それを合図に、シカマルは列席の人々へぺこりと頭を下げる。 「お騒がせしてすんませんでした」 言い終わると同時にくるりと踵を返す。そして開け放ったままのドアから、すたすたと出て行った。 「み、みんな、ごめん!」 最後に、テマリの申し訳なさそうな声音が廊下の先から響いてくる。取り残された幹部達は、毒気を抜かれた表情で何となく顔を見合わせた。 「………いやはや」 ずっと黙って見守っていた長老のひとりが、一息ついて腕を組んだ。 「あの子が、こんなふうに里を出ていくとは思わなんだ」 その唇には、かすかな笑みがある。 「そうじゃのう。色恋沙汰にはてんで興味がなさそうじゃったんで、菱貝家からの申し入れにはむしろ助かったと思ったもんだが。まぁ、本人が幸せならよしとしようか」 隣の長老が顎髭を扱きながら応じた。 「……して、風影よ。菱貝家への返答は何とする?」 さらに別の長老の問いかけに、全員の視線が席に戻った我愛羅に集まる。 彼はすこし悩むように天井を見上げた後、 「さらわれた、とでも言うか。嘘という訳じゃないからな」 と、まんざら冗談でもなさそうに答えた。 黙々とテマリを抱えて運んだシカマルは、砂の里本部の建物の、人気がない回廊で立ち止まった。 頭上からは真っ白な雲に遮られた太陽がやわらかい光を投げかけ、ふだんは砂漠を荒らす烈風も今日はおだやかに吹きすぎてゆく。 うす茶色の石畳へ、シカマルはテマリをそっと下ろした。 「なんか、おまえらしくないな。こんな事するなんて」 テマリは目尻に溜まった涙を人差し指で拭いながら言う。こんな時に殊勝な台詞など口にできないのが彼女だ。 「オレ、意外と根性あるよな。たぶんもう二度とできねェけど」 テマリの憎まれ口を咎めもせず、シカマルは面白そうにニヤリと笑った。 あきらめようとして、気持ちをなだめてきた。でもダメだった。いつもは先手を読んでばかりいるのに、気がついたら家を飛び出していた。 そんなふうに自分を駆り立てるのは、やはり、テマリひとりなのだ。 「あのな、テマリ」 照れたように回廊の外を見ている彼女を呼ぶ。 「何だ?」 シカマルはテマリの真正面に立った。右手の掌をズボンの腿でぬぐい、石畳に片膝をつく。 「なっ…なんなんだ?」 いきなり自分の前に跪いたシカマルに驚いて、テマリは彼の頭を見下ろす。 「えーと。ケジメは大事だと思うからよ」 そう言ってシカマルは顔を上げ、緑の瞳を見開くテマリを見つめた。 覚悟を決めた彼に、迷いはない。 シカマルは掌を上にした右手を、すっとテマリに差し出す。 「オレと、結婚してください」 それはとても、古典的な求婚の礼法だった。 「シカ……」 テマリは声をつまらせ、へなへなとシカマルの目の前へ座りこむ。先ほどせっかく堪えた涙が一気に堰を失い、後から後からあふれて頬を伝う。嬉し泣き、だった。生まれて初めての。 「ちょっ…泣くなよ、オイ」 「うるさ…誰のせいだと思って…っ」 手の甲で必死に目を拭うテマリは、子供のようだった。シカマルは両手を伸ばして、彼女の体を抱き寄せる。 「おまえ…物好きだな…私を嫁にしたいなんて…」 それでもテマリがまた、嗚咽交じりに憎まれ口を叩く。 「はは。そうだな。おまえホントに怖ェ女だもんな。オレ、すっげー物好きだよな」 シカマルが実に楽しそうに笑うので、テマリはばっと体を起こし、彼の胸から体を離した。自分で言っておきながら、涙で濡れた頬を膨らます。 その頬を、シカマルは両手で包んだ。そして額を寄せる。 「…なぁテマリ。『はい』って言えよ。『はい』って」 実に静かに、やさしげに彼はほほえんだ。ただ純粋な愛しさが、テマリの胸をいっぱいにする。 彼女は目を閉じ、ゆっくりとまた開いた。 「…はい」 小さな声。でもシカマルに聞こえるには十分な声。 「ありがとな」 同じくらい小さな声で彼は返し、すぐそばにあるテマリの唇に自分の唇を寄せた。 そっと触れて、離れて。お互いの瞳を見つめて、曳かれるようにまた口づけて。 不器用なふたりは、普通ならゴールの地点から、恋をはじめる。 終 章 “火”の赤い文字が印された笠の鍔を、火影はくいっと親指で上げた。 その正面には、奈良家のシカク・ヨシノ夫妻が立っている。彼らが一歩横に逸れると、背後から純白の和装に身を包んだテマリが進み出た。 銀の髪飾りを差し、顎を引いて佇む姿は、普段の彼女から想像もできないほど淑やかに美しく見える。 「うわー。我愛羅の姉ちゃんキレーだなぁ」 火影としての威厳をすっかり忘れ、昔のうずまきナルトに戻った火影が口をぽかんと開ける。 「…火影様。喋り方が変ですよ」 隣に立つ幹部のネジが低く鋭く指摘した。 「今日はかたいこと言うなよー」 ナルトが口を尖らす。そしてまた、まじまじとテマリを見つめる。 「でもさ、やっぱシカマルにはもったいねぇってばよ」 「聞こえてるぞ、ナルト」 ナルトの背後から、シカマルの不機嫌そうな声が飛んできた。こちらはかなり堅苦しそうに、黒と白で誂えた正装を着込んでいる。 「お。もう来てたのか。じゃ、ささやかな式だけど、行こうか」 ナルトはニッと無邪気に笑ってうなずき、火影の外套を翻す。全員が後に続く。シカマルだけは彼らとは逆に進み、テマリの隣に並んだ。 「ホントに馬子にも衣装だな」 そう言うと、彼女は朱に塗った唇で艶やかにほほえみ、シカマルの脇腹めがけて肘鉄を見舞った。 「いてっ!おまえなぁ…」 「……行きますよ、旦那様」 笑みをくずさず、テマリは手を差し出す。 シカマルははぁ、と大きく一つ溜息をつき、彼女の白く細い指を握った。やっぱりこの笑顔にはかなわない。 「じゃ、行きますか、奥様」 ―――こうして、テマリは木ノ葉の人となった。 シカテマお題コンプリート!! が、しかし。後半部分がえっらい長さになったので、後で前後編の編成を変えようと思います。計画性ゼロですみませぬ。 いやぁ。こんなに妄想炸裂しててだいじょうぶかなー(苦笑)。かなりシカテマ好きな人でもヒクかも、と心配してます。 私はシカマルを「めんどくさがりだけど、やるときゃやる男」、テマリを「自分の感情を殺して里や弟達のことを優先してしまう人」だと マイ設定してるので、こんなお話になりました。原作じゃありえんですが。 でも、思う存分妄想を書けて、ある意味満足です。 私が「30の質問」で答えた未来予想を小説で読んでみたい、とおっしゃって下さった昧依様に心から、感謝! |